骨折治療の患者、抗がん剤39日連続投与され死亡
山口県下関市の国立病院機構関門医療センターは8月10日、誤って抗がん剤を投与した70才代の男性患者が死亡したと発表した。連続投与に制限がある薬であることに、医師も薬剤師も気付かずに投与を続けたためとみられる。
センターによると、男性は2月に骨折の治療で入院した。他の病院で脳腫瘍の治療を受けており、親族が持参した服用薬に抗がん剤「テモダール」が含まれていた。整形外科の男性主治医(53)ら複数の医師は、抗がん剤である事を十分に認識しないまま処方箋を書いたという。
テモダールは副作用が大きく、連続投与が5日間までに制限されているが、主治医らは39日間連続して投与。男性は血液中の白血球が減少する症状を起こし、6月4日に多臓器不全等で死亡した。院内の薬剤師はテモダールが取り扱いに注意を要する薬であることは認識していたが、連続投与に制限があると気付いていなかったという。会見した林弘人院長は「亡くなられた患者とご家族にお詫び申し上げ、深く陳謝します。医療法に基づく調査を進め、再発防止に努めます。」と話した。
医療事故に詳しい森谷和馬弁護士は「テモダールは、使用書にも『警告』と但し書きがあるほど副作用の強い抗がん剤だ。他の病院が処方しているからといって、どの治療に使われている薬剤か確認もせずに続けて処方することは、医師としてあり得ない。薬剤師も責任を果たしていない。病院を挙げた再発防止とチェック体制を構築すべきだ。」と指摘した。(朝日新聞社)
投稿日:2018年9月4日|カテゴリ:トピックス