制汗スプレー吸引で19才男性死亡
気分を高揚させるためデオドラントスプレーを吸引(huffing)し、心停止状態となって死亡した19才のオランダ人男性に関する報告書が「BMJ Case Report」オンライン版に発表された。
男性は死亡した当時、薬物依存症患者向けのリハビリテーションプログラムを受けていた。こうしたスニッフィング(sniffing)とも呼ばれている吸引による薬物の乱用は、現在も珍しくは無い。2017年に米国で実施されたある調査では、12~17才の青少年の約9%に洗浄剤やスプレー塗料、接着剤、マジックペン、ライターの液体燃料などを使って気分を高揚させようとした経験が有ることが明らかにされている。
中毒医療の専門家で非営利団体である米首都中毒センター(National Capital Poizon Center)のKelly Johnson-Arbor氏によると、特に子供たちは入手しやすい家庭用品に興味を持ちやすく、また、これらの製品は無害だと思い込んでいる子供も少なくないとの見方を示している。
今回、Kranp氏らは、ケタミンと大麻の乱用が原因でリハビリ施設に入所していた19才のオランダ人男性の死亡例について報告した。この男性は、薬物の代わりに気分を高揚させるためにスプレータイプのデオドラント製品に手を出した。報告書によると、吸引後に男性は興奮状態になり、飛び跳ねる動作を繰り返した後、崩れ落ちるように倒れたという。すぐに蘇生を試みたが、男性の意識は戻らなかった。
Kramp氏によると、多くのエアゾール製品と同様、デオドラントスプレーにはブタンを主成分とする可燃性のガスが含まれている。ブタンやその類似物質は神経系の組織を含む脂肪組織に吸収されやすいため気分を高揚させる作用があるが、心臓などの臓器に深刻な影響を与える可能性もあるという。
投稿日:2019年3月25日|カテゴリ:トピックス