新生児聴覚検査 公費で、大阪など助成制度の自治体増える
赤ちゃんの聴覚検査を促すため、費用を助成する自治体が増えている。
制度のある市区町村は2015年度まで1割に満たなかったが、今年に入り東京都や大阪市、福岡市が導入するなど、ここ3年で急増し、今年度中に4割以上に達する見通しだ。専門家は「全自治体が助成制度の早期導入を」と訴えている。
検査には、寝ている新生児にイヤホンで小さい音を聞かせて脳波を調べる方法などが有る。難聴の新生児は1000人に1~2人いるとされ、聴覚検査で発見できれば早期に適切な療育や支援を始められ、言葉の発達などへの悪影響が押さえられる。
心身に重い症状が出る代謝異常などを調べる新生児検査は原則無料だが、聴覚検査については、母親が妊娠中に風疹と診断され、難聴を伴う恐れがある新生児らを除いて保険が適応されず、3000~1万円程度とされる検査費は全額自己負担となる。以前から費用の全額や一部を助成する自治体はあったが、厚生労働省が14年度に初めて調査したところ、こうした市区町村は6.3%にとどまることが判明。新生児の約15%が検査を受けていないことも日本産婦人科医会の調査で明らかになった。
厚労省は16年3月、全国の自治体の自治体に公費助成を積極的に図るよう通知。その後取り組みが進展し、昨年度までに市区町村の37.5%が導入し、今年度中に43%まで増える見込みという。
16年度まで助成制度を持つ自治体がなかった大阪府(43市町村)では、大阪市が今年1月から最大4020円を公費負担するなど、計11市町村が導入した。これまでは「検査費が高い」「上の子が大丈夫だったので必要ない」と検査を受けないケースが目だったといい、4月に導入された同松原市にある阪南中央病院の山枡誠一院長は「公費負担があると、検査の必要性を説明しやすい」と明かす。
東京都でも、既に実施していた4市村を除く全58市区町村で4月、一律3000円の助成が始まった。全市区町村で助成制度のある都道府県も14年度は岡山、長崎の2県だったが現在は13都道府県まで拡大している。