国立感染症研究所は2日、9月23日までの風疹の患者数を発表した。1週間で新たに104人の風疹患者が報告され、今年の累計は770人に上り、昨年の8倍を超えた。流行の兆しがある関東以外でも患者が出始め、新たに3県から感染報告があった。
感染研によると、累計患者数は千葉179人や東京239人、神奈川80人など関東地方が多い。新たに山形や栃木、和歌山でも患者が出て、今年に入って感染報告があった自治体は27都道府県に上った。感染経路は不明だが、夏休みで都市部と地方で人の行き来が増え、感染が広がったとみられる。
風疹はウィルス性の感染症で、くしゃみや咳などのしぶきでうつる。潜伏期間は2~3週間。発疹が出る1週間前から人に感染する。症状が軽い場合は患者本人も風疹と気づかないまま、感染を広げてしまうことが少なくない。特に、30代~50代前半の男性は予防接種を受けていない可能性が高く注意が必要。
妊娠初期の妊婦が感染すると、赤ちゃんに障害が出る恐れがある。(先天性風疹症候群)1万6千人超の患者が出た2012~13年の流行では、45人の赤ちゃんに障害が出て、うち11人が亡くなった。
感染症に詳しい、岡部信彦・川崎市健康安全所長は「赤ちゃんの命と健康のためにも、妊娠前の女性や、妊婦の夫、職場の同僚などは、ワクチンの接種を検討して欲しい」と話す。
先天性風疹症候群とは
出生した赤ちゃんに様々な障害を起こします。主なものを以下に示します。
低体重、白内障、難聴、精神発達遅滞、心室中隔欠損、溶血性貧血、など
発症する確率は、赤ちゃんに感染する時期が早いほど高くなります。
妊娠4週まで:50% 8週まで:30% 12週まで:15%
18週まで:8% 18週以降:ほぼ0%
妊娠12週以降に感染、発症した場合の症状は難聴のみのことが多く、聴力の障害の程度も高い
傾向があります。