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急性咽頭、喉頭炎、声帯炎

 

かぜをひいた時にのどの痛み、咳などの症状が出ます。
時々、のどの痛みがなく声だけが全くでなくなる事があります。
これは、のどの奥の声帯だけが炎症を起こす事があり、鼻から内視鏡を挿入し声帯の状態を見る必要があります。

 

喉頭蓋炎

 

喉頭蓋炎は、声帯の上部にある喉頭蓋が腫れる病気で、嚥下時の強い痛みと異物感を感じます。
殆どは消炎剤内服で改善しますが、腫れが高度になると呼吸困難を起こし死に至る事もあります。
この場合命を救うには緊急気管切開しかなく、耳鼻科専門医の仕事になります。
のどの痛みが強い時は是非早めの耳鼻科受診をお勧めします。喉頭蓋の観察は耳鼻科医にしか出来ません。

 

声帯結節、声帯ポリープ

 

声帯の構造
声帯の構造

主に嗄声(声がれ)のみが症状です。
歌手、教師、アナウンサー、政治家など職業上声を使う時間が長い人に多いです。
声を使う頻度によって、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
子供にもできる事があり(声帯結節)、特にやや活発な小学校低学年の男児に多いと言われます。
運動会の後などになる事もありますが、嗄声(させい)が長く続く場合には耳鼻科を受診してください。

 

声帯結節と声帯ポリープ
声帯結節、声帯ポリープ

喉頭内視鏡で見た写真を示します。
治療で最も大事なことは声帯を休ませる事です。
しかし、上記の職業では声を出さないと仕事になりませんので事実上は不可能で、消炎剤の内服、ステロイドの吸入などの治療をします。
最終的には手術が必要になることも多いです。
小児の場合、自然に治まることが多いため、手術は行いません。

 

溶連菌感染症

 

β溶血連鎖球菌による感染症です。
咽頭炎の他、中耳炎、肺炎、関節炎、髄膜炎などを起こします。
まれに、免疫的機序を介してリウマチ熱、急性糸球体腎炎を起こします。
学童期の小児に多く、冬、春~初夏の2つのピークがあります。
急な発熱、咽頭痛、発疹などの症状が起きますが、抗生剤の内服によって2~3日で軽快します。
解熱後24時間たてば登校は可能です。
診断は溶連菌迅速診断キットがあり、5分で結果が出ます。しかし、この検査では「健康保菌者」と「感染者」を区別することは出来ません。「感染者」を診断するのは医師の経験から行うべきものなのです。
現在、日本ではリウマチ熱の発症は年間10例以下、糸球体腎炎の発症率も0.004%と低く、あまり心配はありません。(2014 日本医師会発行 感染症診療 update  より)
ちなみに大人もかかりますが、症状は軽く、自然治癒も多いため治療の必要もないことが多いです。

「溶連菌感染症の実態」

  現在、保育園や幼稚園の子どもの20~30%、学童の10~20%が保菌者(菌を持っているが元気な子どもさん)と言われています。(南山堂 子どもの風邪 西村龍夫 著より)

  この子どもたちが風邪を引くと、迅速検査により「溶連菌感染症」と診断され、抗生物質を10日間内服しなければならなくなります。しかもこれはリウマチ熱の発症を予防するためですが、これだけ発症数の少なくなった現在では、すでに時代遅れの治療と言わざるを得ません。

  何度も繰り返し「溶連菌感染症」と診断される場合は「保菌者」の可能性がありますので、医師に相談することも必要です。

 

咳喘息

 

かぜは治ったはずなのに咳が数週間続く、気温差、タバコの煙、ほこり、運動、飲酒などで咳が出やすいです。
この様な症状の場合、この病気の可能性があります。
実際に京都大学の呼吸器科を訪れたこの様な患者さんの57%がこの診断名であったという報告があります。
ちなみに2番目に多かったのは副鼻腔炎が原因の咳で、15%でした。

診断基準としては、喘鳴(ぜーぜー、ヒューヒュー)を伴わない咳が8週間以上続く、今までに喘息と言われた事がない、血液検査でアレルギー反応が陽性である、等があればほぼ確実になります。
放置すると約30%が喘息に移行すると言われており、治療として、吸入ステロイド薬を2~3ヶ月続ける必要があります。
呼吸器科、アレルギー科、耳鼻咽喉科を受診してください。

 

扁桃周囲膿瘍

 

急性扁桃炎が悪化するとこの様になります。
扁桃腺が腫れるだけでなく、扁桃腺の周りに膿がたまって痛みがひどく、口を開けることすら出来なくなります。
この場合は抗生剤の内服、鎮痛剤は無効で、耳鼻科で口腔内から太い針を刺して膿を抜くか、メスで切開をして排膿します。(切開した場合は入院が必要になります。)
放置すると、膿が胸の方まで広がって縦隔炎になり、命の危険に曝される事になりますので、注意が必要です。

 

咽頭異物

 

これは病気とは言えませんが、耳鼻科ではよくある事です。
食事中に魚の骨(サケ、アジ、タイ、うなぎなど)がのどに刺さる事ありますよね。
皆さんはどうしますか?
よく言われるのが、「ご飯の塊を飲み込む事」だと思いますが、もちろんこれでたまたま取れる事もあります。
取れなかったら耳鼻科へ行こうと思っていませんか?
実は、耳鼻科医としては非常に困る行為なのです。
骨を取る場合、のどに刺さった骨のほんの一部でも見えればそこをつまんで取れるのですが、「ご飯を飲み込む」事によって本来見えていた骨がめりこんで見えなくなる事が多いのです。
特にウナギの骨は細くて短いため、すぐに見えなくなってしまいます。
本人はあると言っても何も見えなければ取ることはできません。
出来れば、骨が刺さったらそのまま何も食べずに耳鼻科に来てください。
余計な時間もかからずに取れると思います。